東京学芸大学附属小金井小学校×学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」 授業レポート(2024年2月26日)

 2024年2月26日に東京学芸大学附属小金井小学校を訪問し、小池翔太 先生が担当する5年3組の社会の授業で帝国書院の学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」を活用している様子を参観させていただきました。

 小池先生は授業のウォーミングアップとして、学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」をモニターに映して、みんなで都道府県映像クイズに取り組みました。ランダムで選ばれた都道府県を、映像で紹介される名産品などのヒントを見て当てるクイズができます。この日のクイズでは、そうめん、そろばん、甲子園、明石焼きなどがヒントとして出ていました。小池先生は、「ランダムで都道府県が出てくるので、自分のデジタル教科書を使って一人でもできますよ」と言っていました。

 都道府県クイズを終えると、この日のテーマである「自動車工業:完成した自動車のゆくえ」へと授業は進んでいきます。小池先生が「完成した自動車はどこへ行くの?」と質問すると、子どもたちから「貿易で外国に運ぶ」と声があがります。小池先生が「運ぶだけ?そういうのを貿易って言うのはあってる?」「完成した自動車は全部外国へ行くの?」と続けて質問すると、子どもたちから「いや、国内にも運ぶ」と答えがあって、小池先生は「外国にも、国内にも運ぶでしょ?どうやって運んでいるか、という応用の学習を今日はやっていきます」と言います。

 「動画を見てみましょう」と言って小池先生はNHK for Schoolで「ギャング ~外国に輸出(ゆしゅつ)される自動車~」の動画を再生し、みんなで見てみます。

 動画を見ながら、自動車を最大4,500台積める船に整然と自動車が並んでいく様子を動画で見た子どもたちは「めっちゃ並べ方、きれい!」と驚いていました。こうしてたくさんの自動車が船に積まれる様子を動画で見ることで、子どもたちに「完成した自動車が運ばれていく」様子を強く印象づけられると思いますし、ここからさらに「このたくさんの自動車は工場からどうやって港まで来るのだろう?」「この積まれた船はどこへ行くのだろう?」と新たな問いへと好奇心を掻き立てられると思います。

 続けて小池先生は「自動車が工場からどう運ばれてきたのかを、地図帳を見て分析してみよう」と子どもたちに言います。「今日は、愛知県を例に自動車の運ばれ方を調べよう。愛知県には有名な自動車の会社が…」と小池先生が言ったところで、子どもたちから「トヨタ!」と声があがっていました。


 子どもたちは学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」の「自動車産業のさかんな愛知県(30万分の1)」のページを開きます。学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」では、授業で利用しやすいようにさまざまなアイコンが地図の上に描かれています。インターネットで使えるさまざまなデジタル地図と比較すると、こうした用途別の地図を一人ひとりが簡単に見ることができるのは教育用地図の大きな利点です。

 小池先生は、「地図に描かれている自動車工場を8つ見つけて、画面上で赤色の丸で囲んでください」と言います。子どもたちは地図を拡大したり縮小したりしながら、自動車工場を探していきます。地図を拡大して見られるのもデジタルの利点です。

 一人ひとりが自分の学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」を開いているからこそ、みんなで見せ合ったり、一緒に探したり、考えたりする活動が教室で生まれます。

 続いて、完成した自動車がどのような方法で各地に出荷されているのかを調べてみます。学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」のレイヤー切り替えのメニューを開いて、地図から自動車などの工場や市町村名などすべての情報を一度消すと地形の情報だけが見えるようになります。さっき囲んだ自動車工場の赤い丸だけが地図上に残っているので、地形と自動車工場の場所の関係にフォーカスして地図を見ることができます。

 そのうえでレイヤーメニューの中から「高速道路・有料道路」のレイヤーだけにチェックをして表示させると、自動車工場の周りに高速道路が通っていて、それが近くの港に繋がっていることが理解しやすくなります。
 ここで小池先生が「どうしてだろう?」と質問すると、子どもたちからは「外国へ輸出するから」と答えていました。

 また、学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」では地図上の距離計測もできるので、工場から港までがどれくらいの距離があるのかということもわかります。工場から港までの距離がどれくらいなのかを調べることができます。

 たくさんの情報が掲載されている地図から、フォーカスしたい情報だけを選んで表示させるレイヤー切り替えメニューを使うことで、「どの情報を見たらいいかわからない」という子どもの学びを助けることができると思います。

 小池先生は、「気づいたことをノートにメモしておいてね。スクリーンショットを撮って、Teamsで共有したりしてもいいね」と言っていました。子どもたちは地図上にわかったことや考えたことも記入していました。

 学習者用デジタル教科書・教材セット「楽しく学ぶ 小学生の地図帳(令和5年度版)」で地図上の情報量をコントロールすることで、子どもたちに気づいてほしい情報をわかりやすく届けて、そこから新しい問いへと繋げていく授業がされていました。

機能紹介:レイヤー切り替えメニュー

 土地のようすや高さ、交通、都市、産業などのレイヤーのなかから、見せたいレイヤーを選んで表示できます。さまざまなレイヤーを組み合わせることで、相互の関係に着目して社会的事象を比較したり関連づけたりできます。例えば、授業で児童が考えたことを発表する際にレイヤー機能を用いて説明させることで、根拠を持って考えを説明する力を育むことができます。

【レポート執筆】
フューチャーインスティテュート株式会社 / 教育ICTリサーチ 為田裕行