文部科学省のサイトで公開されている「令和5年度 学習者用デジタル教科書の効果・影響等に関する実証研究事業」のページを読みました。ページにアクセスしてみると、「成果報告書」と「事例集・事例動画」の2つのパートに分かれています。
「成果報告書」のパートについては、さまざまな教科書会社による学習者用デジタル教科書の導入についての知見や授業でどのように活用してきたかということを読むことができます。
もう一方の「事例集・事例動画」のパートは、先生方にとって比較的読みやすく、学習者用デジタル教科書の機能を知ることができる資料が並んでいます。学習者用デジタル教科書を活用することで子どもたちの学びをどのように変えていけるのかを知ることができて、授業づくりのヒントとして即効性があるように思います。
特にお薦めしたいのは、「令和5年度「主体的・対話的で深い学びの充実に資するデジタル教科書をはじめとするICT機器等を活用した効果的な指導に関する実証事業」実践事例集(概要版)」です。リンクをクリックすると開くPDFファイルの表紙には「授業改善・地域内展開 実践事例集」と書かれています。
放送大学 教授の中川一史 先生が「はじめに」の中で、「学習者用デジタル教科書は、これまでの教える(教わる)ための教科書から学ぶための教科書へと移行しているといえます。読むだけの教科書から書く教科書、聞く教科書、共有する教科書へと、さらに、これまでの一斉授業が主だった使い方から、児童生徒自身で学習が最適となるよう調整するような使い方へと意識を変革していく必要があります」と書かれています。
中川先生が書かれている「これまでの教える(教わる)ための教科書から学ぶための教科書」への変化というのが、学習者用デジタル教科書の授業の中での存在意義として先生方が考えることではないかと思いました。
「令和5年度「主体的・対話的で深い学びの充実に資するデジタル教科書をはじめとするICT機器等を活用した効果的な指導に関する実証事業」実践事例集(概要版)」では、「授業改善事例(外国語編)」「授業改善事例(算数・数学編)」「地域内展開事例」の3つのパートに分けて事例が紹介されています。
「授業改善事例(外国語編)」と「授業改善事例(算数・数学編)」のパートでは、「実証研究校」として選定された日本全国の小学校・中学校10校が、デジタル教科書をはじめとするICT機器を用いて取り組んできた授業改善の事例を読むことができます。
「掲載授業改善事例一覧」のページでは、授業改善の視点として「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」のどれに効果的に働きかけているのかがマークがつけられています。
それぞれの授業改善事例のページを見てみることで、どんな授業のどんな場面で学習者用デジタル教科書をはじめとするICT機器を活用して授業改善をしたのかを読むことができます。
学年や教科が違っても、授業改善のアイデアとしては先生方にとっては「うちの学校でもやってみたい」と思える事例が見つかるのではないかと思います。文部科学省が公開している授業改善事例を詳細に読める「令和5年度「主体的・対話的で深い学びの充実に資するデジタル教科書をはじめとするICT機器等を活用した効果的な指導に関する実証事業」実践事例集(概要版)」にぜひアクセスしてみていただければと思います。
後編に続きます。
フューチャーインスティテュート株式会社 / 教育ICTリサーチ 為田裕行